大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)3546号 判決

原判決挙示の証拠を総合すれば、被告人に関する原判決摘示の第一の一、二、三の(一)、(二)四乃至六、第二の一、二の各事実は、後記判決に影響を及ぼさないと認められる事実誤認の点を除いては優にこれを認めることができる、そして、所論指摘のように、本件起訴状記載の公訴事実第三(原判決摘示の第一の三、の(一)に対応する事実)及び第四(同第一の三、の(二)に対応する事実)にはそれぞれ被害物品の所有者として内藤半二郎と表示してあり、原判決第一の三、の(一)、(二)の事実摘示としてはそれぞれその所有者を内藤半二郎と認定判示しているのであるが、原審証人岩間栄三、同西沢昭二の供述記載その他本件記録にあらわれた証拠によれば、右被害物品の所有者はそれぞれ内藤半二郎でなくて岩間栄三と認めるのが相当であると解すべきことは所論のとおりである。しかし窃盗罪は他人の財物を窃取することによつて成立するのであるから、窃取した財物が同一物である限り、その所有者又は占有者の氏名が異る場合であつても、公訴事実の同一性に欠くるところなく、裁判所が起訴状記載の公訴事実記載の被害物品の所有者又は占有者と異る所有者又は占有者を認定する場合においても、特に訴因変更の手続を履践する必要がないものというべく、又所有者又は占有者の氏名を誤認した場合でも、被害物品が同一であると認められる限り、窃盗罪の成否自体に直接影響なく、従つて、判決に影響を及ぼすことの明らかな事実誤認と認めることができない。又記録を精査しても、原判決第一の三、の(一)、(二)の各材木は、被告人が所有者岩間栄三から買い受けたものであつて、窃盗罪を構成せず、公訴事実第八及び第九の各金員は被告人がそれぞれ村松清、石原国男から諒解を得て一時使用したもので横領罪を構成しないとの所論は、これを認めるに足る証拠がない独自の見解であつて採用できない。

論旨は理由がない。

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